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『舞姫』と『雁』から見られた森鴎外の自我意識の目覚め

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序章

第1章森鴎外と特殊な明治時代

第2章明治中期の『舞姫』と明治末期の『雁』

第3章『舞姫』と『雁』から見た鴎外の思想変化とその原因

結論

参考文献

謝辞

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摘要

森鴎外が文明開化の先端を行く洋学生時代に、すでに東西両洋に足をかけた者であり、のちに「洋行帰りの保守主義者」の「元祖」となった資格を、そなえていたということがわかる。森鴎外の生を一貫するのは、官僚にして文学者として固有的な公と私、封建と近代、東洋と西洋、保守と合理、国家と個人という二元的矛盾である。その二元的矛盾に耐えて、日本現実の社会で生き抜いた鴎外は日本的近代の矛盾の象徴的体現だと思う。このような矛盾の渦中から生まれた鴎外作品『舞姫』『雁』は、主題と方法の相違をこえて、鴎外の文学的姿勢と決して無縁ではない。『舞姫』は鴎外の実体験に即したものである。この小説は、作者の真実の経歴を書きとめた。作者がその人生の中での重要な感情を記念にするために、この小説を作った。『舞姫』の豊太郎は自身を恨み、自分のしたこと、自分の卑しさをだれよりもよく知っている。二つの小説の中には豊太郎も『雁』の岡田も愛情を捨て、官途を選んだ。その原因は武士家族の深い倫理感と明治官僚制度の影響である。当時、日本の「文明開化」の現状とも結びついていた。明治社会における人間の自我目覚めが普遍的だと言われて、それとともに現実との衝突もあると思う。二つの小説には共通性もあり、同時に異質性もある。本課題の目的は明治中期の『舞姫』と明治末期の『雁』との比較を通して、その共通点と相違点を詳細に分析し、二つの作品の影響関係を発掘し、鴎外の思想変化を明らかにすることである。

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