5月7日、英国下院(House of Commons:庶民院)総選挙が行われた。結果は、苦戦との事前予測は杞憂に終わり、キャメロン首相率いる与党、保守党がまさかの圧勝を果たし、単独過半数を維持した。予測と違う結果をもたらした要因は、昨年9月に行われたスコットランドの独立是非を問う住民投票と同じく、「国家分裂」への恐怖感•危機感が浮動票を動かしたものと見られる。選挙結果がEU改革•同離脱問題にどう影響するのか?衆目を集める中、同月27日に開会した英国議会で、開会式に出席したエリザべス女王は伝統に則って、キャメロン首相の施政方針演説を8分30秒にわたり読み上げた。2期目の施政方針では、スコットランドなどで自治権を拡大し、独立是非の住民投票は2度と実施しない方針を示すとともに、英国国民が移民問題やEU組織の巨大化、通貨問題等、EUの現状に大いなる不満を抱いていることを踏まえ、EU改革を訴えたうえ、2017年末までにEU離脱を問う国民投票を実施すると言明した。国民投票に先立ち、欧州の航空業界に異変が勃発した。3月末、IAG傘下のブリティッシュ·エアウィズ(BAW/BA)とイベリア航空(IBE/IB)の両社が、他加盟航空会社との間で妥協できない政策面での意見対立が発生したとして欧州系航空会社の同業組織AEA(Association of European Airlines/設立1954年)を離脱。翌月25日に両社はグループ内のLCCブエリング航空(2004年設立、本拠バルセロナ)が既に加盟している新興団体ELFAA(European Low Fare Airline Association設立2003年)に加盟登録し、即日承認された。更に4月21日には、IAG 2社と同じくOneWorld加盟でドイツ第2位のエアベルリン(BER/AB)が同様の背景でAEAを脱退し、ELFAAに移籍する意向であることを表明した。さて、今回は、人間の尊厳に対する敬意•民主主義•自由•平等•法の支配•少数者に属する権利を含む人権の尊重という価値観、基本理念の下に、「移動の自由」と「統一」を御旗とする欧州連合域内において今、欧州航空輸送協会(AEA)の分裂を招き、地球上でもっとも進展しているとされるEUのオープンスカイ政策が保護主義台頭によって逆流するかも知れない事件が発生していることについて言及することとする。
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