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地球温暖化-今北極で何が起きているのか?

机译:全球变暖-北极现在正在发生什么?

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摘要

地球の陸地面積の約25%を占める北極圏には,大気中CO_2の約2倍の有機炭素が蓄積されている。それらの有機炭素は,含氷率60~90%の氷とともに永久凍土の状態にある。永久凍土に含まれる氷は,地球上の山岳氷河(40万km~3)の約8倍と膨大な量である。その厚さは,北極海沿岸で最大500mにも達する。これらの永久凍土は,エドマ層と呼ばれており,主にシベリアからアラスカにかけての北極海沿岸に広く分布している。このエドマ層が,近年の温暖化によって大規模な融解地盤沈下(または,サーモカルスト)を起こしており,比高10m以上にわたる陥没も報告されている(図1)。このようなエドマ層の融解は,すでに現地に生活する人々への様々な影響を及ぼしている。陥没による地形改変では,住居,港湾施設のインフラへのダメージに加え,石油パイプラインの破損など,広範囲に深刻な影響を及ぼしている。生態への影響として,河川や沿岸の浸食とともに,海洋酸性化がある。海洋酸性化では,プランクトンなどの生態系への影響の結果,水産資源への影響も大きい。さらにこれらの影響の中で,極めて注目すべきが,永久凍土中からの温室効果気体(メタン,CO_2)の放出と凍土に含まれる数万年以上前の有機物の分解により新たに生成放出される温室効果気体による温暖化影響である。特にメタンガスは,CO_2の約25倍の温暖化係数をもち,その影響が極めて大きい。一般的に,北極圏は,寒冷な気候なため,温暖化とは縁が薄いイメージが持たれているが,実は,グリーンランドの大陸氷床から採取された過去10万年間のアイスコアからの過去の気候記録(気温,CO_2濃度,メタン濃度等)の精密な解析から,気候変動が自然界のフィードバックを介して最も顕著に現れる地域であることがわかっている。しかし,フィードバック効果に関する詳細なメカニズムは未だ解明されておらず,IPCCの最新の報告書においても,今後の全球規模での気候変動予測の高精度化のために欠かせない情報の一つとして,永久凍土の融解に伴うフィードバック効果のメカニズム解明が指摘されている。すなわち,永久凍土の融解によるメタンゃCO_2の放出を含め温暖化をさらに促進させる様々な複合的なメカニズムが未だ十分に解明されていないということは,炭素循環における大きな不確定要素であり,気候予測シミュレーションの大きな誤差要因の一つとなっているわけである。たとえば,現在,北極の平均気温は,過去100年間で世界平均上昇率の約2倍の速度で上昇しており,温暖化の進行によって気温の上昇がさらに深刻化すると予想されている(IPCC第5次評価報告書)。驚くべき事に,最終氷河期が終わり,現在の気候に移る温暖期の11,600年前と14,700年前の北極では,わずか数年で5度以上の気温上昇が起こっていた。しかも,約20mの海面上昇を伴っており,これが現代に起きたら大変なことであることは想像に堅くない。2007年夏には,海氷面積が1978年から開始された衛星観測史上最小となったが(2016年に2番目に大きな減少),これはIPCC第5次報告書で予測されている減少を大幅に上回る速度で海氷減少が進んでいる。過去十数年ほどの海氷減少量の観測からの予測では,IPCCの予測よりも数十年以上早いスピードで海氷が消滅することが予想されるなど,気候モデルシミュレーションの限界も露呈している。またグリーンランドと南極のアイスコアの解析からは,北半球と南半球の気候変動にはタイムラグがあり,北半球が百年オーダーで先行していた事などもわかってきている。近年では,現在,起きている北極海の環境変動について,海底堆積物コアを用いた過去の環境変動を復元するための研究が進んでいる。その中で特に注目して研究が行われている時代として,中世の温暖期(平安時代),完新世前期の温暖期(いわゆる縄文時代の温暖期など),そして最終間氷期(12.5万年前,現在の間氷期の一つ前)がある。最終間氷期は,現在よりも北半球高緯度に降り注ぐ太陽日射量が数%高く,近未来の温暖化地球を先取りする環境であったことから,その環境変動の実態を把握するための研究が行われている。たとえば,最近の報告では,グリーンランド氷床が現在よりも80%以上融解していたこと,ここ10数年で顕著に減少している海氷が,実は,それほど減少しておらず存在していたことなど,まだまだ研究途上ではあるが,未来の環境変動を予測するために重要となる過去の北極気候変動の知見が得られつつある。これらの知見は,人為影響のない本来の変動規模を把握できることから,気候モデル開発とシミュレーシヨンの精度向上のために必須の情報となる。最近では,北極振動のように,北極での気候変動によって北極海上の気压場の形成パターンが,例年とは違った状態となり,その結果,異常気象として,日本が位置する中緯度帯への強烈な寒波の襲来などからも,われわれの生活に北極の環境変動が身近な存在となってきていることを実感できる。このように,温暖化に対して脆弱な北極域の環境変化を調査研究することは,今後の地球レべルの気候変動を予測するためにも重要な課題である。
机译:None

著录项

  • 来源
    《電気評論》 |2017年第7期|44-45|共2页
  • 作者

    内田昌男;

  • 作者单位

    国立環境研究所;

  • 收录信息
  • 原文格式 PDF
  • 正文语种 jpn
  • 中图分类
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