従来,「医療の質」というと,「構造」や「過程」を指したが,最近は「医療成果(アウトカム)」にその重点が移っている.しかし,これは「言うは易く,行うは難し」である.というのは,同じ疾病でも,患者の重症度によって得られる治療成果は異なるからである.そこで,患者の重症度(ケースミックス)をどうやって把握·測定するかが論点になる.患者の重症度を測定する手法としては,学会や医療評価機関等からさまざまなものが提案されているが,残念ながら,今のところ,完壁なものはない.例えば,病期分類法は患者重症度を疾病の進行度と感染·閉塞などの合併症の観点から患者を分類する方法である.この分類法では420の疾病それぞれを概ね4つの状態に分類している.4つの状態とは,①合併症無し,②単一の器官および臓器における疾病·障害,③複数の疾病·障害,④死亡の4つである.しかしながら,同じ病期であっても重症度は疾病によって異なる.例えば,がhの第2期と糖尿病の第2期の重症度は異なる.また,病期分類法は患者の医療資源の利用パターンを分類する目的で開発されたわけではないので,医療資源の消費量との対応関係ははっきりしていない.その点,DRG(Diagnosis Related Group)は一定のアルゴリズムに基づいており,簡便なリスク調整法として優れているが,問題はそのリスク調整の度合いとこれがわが国の医療界になじむかどうかである.
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