東北地方における地質は,大まかに北東側の南部·北部北上帯および根田茂帯(永広·鈴木,2003)と南西側の阿武隈帯に分けられ両者は畑川構造線およびその北方延長とされる鬼首-湯沢マイロナイト帯(笹田,1984,1985)によって境される。このうち南部北上帯北部には,苦鉄質~超苦鉄質の複合岩体である早池峰·宮守オフィオライトが露出している。苦鉄質岩中の角閃石におけるK-Ar年代やSm-Nd全岩アイソクロン年代から,早池蜂·宮守オフィオライトは前期古生代のオフィオライトであるとされる(小沢ら,1988;Shibata and Ozawa,1992;Yoshikawa and Ozawa,2007)。早池峰·宮守オフィオライトの超苦鉄質岩は,マントルの固体変形流動を被った溶け残りかんらん岩からなるテクトナイトメンバーと主に超苦鉄質集積岩からなるキュムレイトメンバーで構成されており,前弧域に由来する宮守岩体と背弧域で形成した早池峰岩体からなる沈み込み帯域オフィオライトであると考えられている(Ozawa,1988;Yoshikawa and Ozawa,2007)。
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