エコツーリズムガイドライン

中井達郎

摘要

エコツーリズムの定義については，それを提示する立場によって，未だに差違がある．この差違あるいはその結果として定義が不明確になっていることが，混乱を生んでいる．自然環境保全の立場からの定義にも，観光業の立場からの定義にも，地域の自然と文化を損なわないこと，地域経済・社会へ寄与することが，共通してあげられている．「地域の自然と文化」にも，「地域の人々の社会・経済」にも，そして「旅行者と旅行業界」にも，すべてにとってメリットがあることがエコツーリズムの理想である．しかし現実の中で，この3者のいずれにウエイトを置くかが，立場によって異なり，定義の差にも現れている．エコツーリズムの理想は，現代社会の大きなテーマとなっている「持続的な自然利用」という課題に結びつく．それを実現することは，将来にわたって人間社会を維持するために不可欠なことは明白であるが，どのように実現していくのかについては，様々な議論と模索を続けているところである．それは，社会システムの再構築作業である．エコツーリズムも全く同様で，上に述べた3者間がともにメリットを受ける方向を前提として，どのように調整を行うべきか，どのような社会システムを構築していくのかが，求められている．

エコツーリズムガイドライン

摘要

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