食品加工衛生環境の潤滑剤は,人体に有害なものを含有させてはならないことは直感的に理解できる.しかしながら,有害・無害の判断基準や,加工工程のどの範囲までを食品加工衛生環境としてコントロールするのかは国によって,あるいは各加工工場の安全管理の取組みによって異なっているのが現状である.米国においては食品機械用潤滑剤としてUSDA(United States Department of Agriculture:米国農務省 〩1規格があるのに対し,日本では食品機械用潤滑剤の規格がないことも以前から問題として指摘されている.とはいえ日本の食品加工衛生環境で潤滑に関連する規制がまったくないというのも誤解である.日米の規格の有無も管理すべき衛生環境範囲の定義の違いに起因するが,定義の違いを論じないために,前述のように日本ではまったく規制がないような誤解も生じる.
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