中国で拡大するスズメバチ飼育

野中健一; 赵　敏

摘要

中国で古代の帝王食とされるスズメバチの消費が近年拡大し，飼育技術も進展している。食用資源としての意義と課題の検討を通じて，環境の持続性を考える手がかりとしたい。スズメバチ類は，日本も含めアジア～オセアニア地域で伝統的に食用にされてきた。コロニーを採取し，巣の中の幼虫·蛹·成虫(以下，蜂の子)が食用にされる。野生のコロニーのみならず，日本や中国では，小さなコロニーを自宅や周辺で育てて，秋の最大になる時期に収穫することも行われている。中国ではスズメバチは，古代の帝王食とされていたものの，その食用地はおもに雲南省，貴州省，広西省などの南西部であった。しかし，この20年ほどの間に蜂の子の消費市場は，従来の農村地域から主要都市である昆明，貴陽，南寧，玉渓など都市部へ，そして安徽省，湖南省，湖北省，海南省，広東省などの南部，さらには北京，山東省，河北省などの国内のほとんどの省にまで広がって，北京や上海など大都市での消費が増している。この背景として，経済の活性化に伴って消費熱が高まり，新規性のある食品が求められるようになる中で，多くの昆虫が食用とされてきた中国において，昆虫食ブームが高まってきたことがある。

中国で拡大するスズメバチ飼育

摘要

著录项

相关主题

期刊订阅