地球科学，生物試料に対するXAFSの応用

沼子千弥

摘要

X線吸収微細構造法（X-ray Absorption Fine Structure; XAFS）は，シンクロトロン放射光の恩恵を最も大きく受けている分析手法のひとつである。実験としては，目的元素のX線吸収端の前後で入射X線のエネルギーを変化させながら試料に対するX線吸収量を測定し，得られたX線吸収スペクトルに出現する振動構造から試料に含まれる目的の元素周辺の局所構造解析を行う。実験室系ではX線源の種類により測定元素が制限されるほか，良好なスペクトルを得るためには長時間の測定を必要とするなどの制約があったが，輝度の高い白色光である放射光は，自由に入射X線のエネルギーを選択することと測定時間の大幅な短縮を可能にし，XAFSは実用的な物質のキャラクタリゼーション法として広く認識されるようになってきた。 X線の吸収にはLambert-Beerの法則が成り立ち，吸収強度は試料に含まれる元素の種類，濃度，そして光路長に依存する。従って透過モードのXAFS測定では，入射X線の光路に対してこれらが一定になるように試料調製を行う必要がある。たとえば鉱物試料のXAFS測定を行う場合には，試料を均質にするため乳鉢等で粉砕し，適切な濃度になるようにX線に対して吸収が低い窒化ホウ素（BN）などの粉末と混合·希釈した後，10～13mmf程度のディスクに成形して均一な厚みを持たせるように調製するのが一般的である。しかしこの調製法は，試料が微量または微小であったり破壊が許されない貴重な試料の場合には適用が困難であり，複雑な組織構造と不均質な元素分布を持つ地球科学試料や，金属元素の存在量が少ない生体試料などに対してそのまま従来法を適用することは困難であった。

地球科学，生物試料に対するXAFSの応用

摘要

著录项

相关主题

期刊订阅