微小な鉱物粒子あるいは微細な組織を形成する鉱物の同定にはEPMAによる組成分析が多用され,多くの成果があげられている。 EPMAの分解能が数μm程度と言われているのに対し,同定に欠かせないX線回折法の分解能は実験室系でたかだか数十μm程度であり,しかもEPMAで分析した試料をそのままの状態でX線回折に供し結晶学的なデータを得ることは不可能であった。 大隅一政教授·大改正明教授を中心としたグループは,放射光を光源とする超強力X線を利用することにより実験室系での分解能を超える測定が可能になると考え,極微小結晶·極微小領域からの回折X線を測定し構造解析まで可能なシステムの開発を行ってきた。 筆者はこの一員として,白色X線を用いる方法(ラウエ法,高エネルギー加速器研究機構放射光実験施設(KEK/PF))と単色X線を用いる方法(回転結晶法,SPring-8)の開発に携わり,前者では,サブミクロン~ミクロン大の単結晶粒子の(Ohsumi et al., 1991,萩谷,1997),あるいは薄片試料中の微小領域(1.6μmfまで可能)の構造決定にいずれも成功し(Ohsumi et al., 1995,内田,1996),システムとしては完成している。 後者については現在開発途中であるが,17.7KeVで2μmfのビームを,35.4keVで3.4μmfのものを得ており,それぞれ薄片試料からの回折の測定に成功している(Ohmasa et al., 1999,2000,Hagiya et al., 2000)。 これらの2つの方法は相補的であり,目的により使い分けることが必要である。 以下にその概要を述べる。
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