藻類バイオ原油生産と利用と商用化

渡邉信

摘要

世界で44億7433万トンと大量に生産される化石燃料の真の代替として利用できる理想的なバイオエネルギー生物として，（1）オイル等バイオ燃料生産分子の高い割合，（2）高いバイオマス生産性，（3）耕作限界地で成長する能力，（4）淡水-海水-高塩水まで多様な塩濃度で生育する能力，（5）下水等廃水の高効率での利用と低生産コスト，（6）環境変動に適応する強靭性があげられる．陸上植物はその栽培に耕作地を必要とすることから食料生産と競合すること，大量の淡水資源を必要とすること，脂質生産性が低いことから（1），（3），（4）の観点で持続性に欠ける．そこで藻類が注目されたが，藻類燃料技術開発のほとんどは増殖がよく，オイル生産性の高い藻類種に注目してなされてきた．しかし，そのような単一種藻類培養では（1）～（3）には対応するが，（4）～（6）までを網羅することは困難である．最近，国内では，藻類燃料技術はすでに商用化されているとする認識があるが，（1）～（6）を見据えて藻類燃料生産までのエネルギー収支，CO_2収支やコスト収支が不明のままであり，国際的な藻類燃料開発の技術動向からみて，かなり間違った認識であり，このままでは，日本の藻類燃料技術開発が大幅に遅れてしまうことが懸念される．本稿では，これらの理想とされる6つの条件のほとんどに対応するものとして注目されている下水等廃水·廃棄物資源を活用した藻類のポリカルチャー（多種藤混合培養）の研究開発状況を俯瞰するが，読者の方にわかりやすくするため，中核となる藻類の栄養様式，下水道事業が抱える課題から説明する．

藻類バイオ原油生産と利用と商用化

摘要

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