ソフトマテリアルのシミュレーションは,近年,印刷·粒子集積によるデバイス設計,MEMS,人工臓器,燃料電池などのナノ·バイオ分野でのウェットプロセスの設計で非常に重要となっている.ソフトマテリアルの性質は,ミクロな単一の分子構造はもとより,分子集合体としてのメゾ構造,例えば,界面形状,界面張力,分散相の空間分布や粒径分布などの分散構造,結晶のモルフォロジーなど,メゾスケールからマクロなスケールにまたがるさまざまな構造にも影響される.つまり,ソフトマテリアルの材料とプロセスの設計は強く相関しており,望まれる材料とプロセスを開発するには,ミクロからマクロにまたがる幅広い知見を得て,それを総合的に理解する必要がある.OCTA (Open Computational Tool for Advanced material technology)は,(独)新エネルギー·産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクト「高機能材料設計プラットフォーム」において開発されたソフトマテリアルの材料プロセス特性を予測するためのマルチスケールシミュレーションシステムであり,現在,ホームページhttp://octa.jpよりオープンソースのフリーソフトウェアとして一般に公開されていると共に,公開後もボランティアによるサポートとバージョンアップを継続している.また,科学技術振興機構(CREST)「多階層バイオレオシミュレータの研究開発」において,OCTAプラットフォーム上で動作するバイオ分野のユニークな新規シミュレータ群の研究開発を進めている.ここでは,OCTAシステムの概要,およびOCTAプラットフォーム上で動作する新規シミュレータの計算例を紹介する.
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