数学研究と英語

河東泰之

摘要

多くの理科系の学問と同じく，数学でも新規の学術的成果は英語で論文を書き，英語で講演して発表する。国内の研究集会だと日本語で発表することはあるが，論文の方は日本語でオリジナルな研究成果を発表できるジャーナルはない。したがって研究者として生きていくにあたり，英語力はどうしても必要である。数学は式や記号を書いていればかなり話が通じるので，必要な英語力は，全学問分野の中で最低レベルですむと思うが，それにも足りていない日本人の数学の研究者，学生は残念ながら少なくない。東京大学の数学専攻の大学院生を見ると，英語についてまあまあ用が足りている人，不自由で実害が生じている人，それにすら達していない人が，だいたい1/3ずつくらいだと思う。昔より国際化が進み，ネイティブスピーカーやネット上のビデオ，さまざまな英語教材などにも接しやすくなった結果，英語の得意な人はかなりうまくなっている一方，そうでない人は取り残されてしまっているような気がする。

数学研究と英語

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