次世代型有機フッ素化合物の検出とメカニズムの探究

石橋弘志

摘要

ペル/ポリフルォロアルキル物質(PFAS)は，その化学的安定性から「永遠の化学物質」と呼ばれ，北極圏から海?河川?湖沼?地下水，土壌や大気，さらにはヒトゃ野生生物の生体内まで遍在する環境汚染物質である。PFASは70年以上前から製造されている。その工業的用途は，ファーストフードの容器などの撥水撥油コーティング剤，フッ素樹脂製品の製造助剤，泡消火剤，界面活性剤などであり，1400種類以上のPFASが200以上の多様な用途で使用されている1。しかし，ペルフルォロオクタンスルホン酸(PFOS,C8)やペルフルォロォクタン酸(PFOA,C8)など一部のPFAS(図)は，毒性が強く，難分解性，生物蓄積性，長距離移動性，人の健康または環境への悪影響が懸念されるため，残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約で国際的に規制されている。また，PFOS代替物質である短鎖ぺルフルォロへキサンスルホン酸(PFHxS,C6)や長鎖ぺルフルォロカルボン酸(pfca,C9?C20)は，POPSへの追加などや新規提案がなされている。一方，近年，既存のPFOS?PFOAと化学的特性の類似したPFAS代替物質あるいは新規に開発されたPFASが多数存在することが指摘されている1。経済協力開発機構(OECD)は，2018年に4730種類のPFASのケミカル?アブストラクッ?サービス(CAS)番号を特定し，米国環境保護庁(USEPA)は，2021年に8000種類以上のPFASをリスト化した。しかし，これら膨大な数の代替あるいは新規PFASは未規制であり，既存のPFOS?PFOAと比較して，物性，環境動態，曝露および毒性影響に関する情報は極めて少ない。欧米ではこれらを「next gener-ation PFAS」と呼ぶこともあるため1，本稿では「次世代型PFAS」と呼び，それらの検出とメカ二ズムの探究について概説する。

次世代型有機フッ素化合物の検出とメカニズムの探究

摘要

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