整形外科領域の再生医療

梅澤明弘

摘要

5月の連休明けに,海外における整形外科の学会に参加した.再生医療に関する発表が多く,臨床現場の最前線における再生医療を知ることができた.臨床の現場で再生医療が行われれば,病理学的なアプローチは必要不可欠である.筆者の理解では,整形外科の領域で再生医療は未だに明確な有効性および安全性が示されていない.一方,実際には再生医療等安全性確保法および医薬品医療機器等法のもとに,再生医療が行われている.骨,軟骨,靭帯,神経といった組織に対して,細胞,コラーゲン,ヒアルロン酸,多血小板血漿platelet-rich plasma (PRP)および足場(スキャフオルド)が利用されている.用いられている細胞も様々であり,間葉系間質細胞,骨芽細胞,軟骨芽細胞,靭帯細胞,脂肪細胞,神経細胞が挙げられる.すベての病気は細胞の形態的，機能的,栄養的変化にょって生じるという,Virchowの細胞病理学を学んだ者にとっては,細胞を中心に扱う再生医療は感覚的に馴染みがある.また,臨床研究的な側面の强い再生医療は,病理学的検証なしには発展しない.病理医は職業柄,守備範囲が広く,頭のてっぺんから足の指先まですべての病気を顕微鏡でみる.客観的に,クールに,そして科学的にみる.再生医療では,病理医は特に有利だ.そもそも,創成期の再生医療をリードしたのは病理医だ.幹細胞の存在を組織学的に同定し,その後,疾病モデルに対し幹細胞製剤を用いて病理組織学的な解釈を加えていった.幹細胞科学では,医療機器または医薬品としての細胞製品の効力ないしは毒性を検討することが多く,人体病理に近い位置にある.

整形外科領域の再生医療

摘要

著录项

相关主题

期刊订阅