かご作りの心

山下宏文

摘要

この絵本は、今から100年以上前、アメリカのニューヨーク州コロンビア郡のハドソンからほど近い山間で木製のかごを作って暮らしていた人々の話である。主人公の「ぼく」たちが住む山は、土地がやせていて作物ができないが、かごを作る木はいっぱいあった。かごを作る木は、卜ネリコ、オーク、ヒッコリー、力エデなどだが、トネリコが最も適していることを、ほ'くは知っていた。この卜ネリコ、すなわちホワイトアッシュは北米の五大湖周辺が原産地なので、まさに地元の木ということになる。ホワイトアッシュ材は、弾力性があり衝撃にも強いのでバッ卜などのスポーツ用品として最適で、家具や建材にも利用されている。ネイティプアメリカンは、樹皮を衣服に、木材を弓矢や道具などに利用していた。こうしたホワイトアッシュ材の特性は、かごとしてもうってつけだったのだろう。また、カエデ材、すなわちメープル材も耐久性と強度、色合いのよさなどから家具や建材などに利用されるが、かごとしてもホワイ卜アッシュ材に決してひけをとらないだろうと思う。いずれの材にしても、こうした木製かごは、昔からアメリカを代表する生活用品であり、現在でも伝統を受け継ぎ作り続けられている。

かご作りの心

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