肺炎

倉井大輔

摘要

本稿では,感染症による肺の炎症を肺炎と定義する.日常臨床において肺炎はよく経験する疾患であるが,確定診断の検査には限界がある.そのため,臨床的に診断する必要が出てくる. 下気道症状である咳などの症状や発熱などの全身症状に加え,胸部X線などの画像検査の異常があった場合に肺炎と判断し抗菌治療を開始する.肺炎は,肺炎球菌などの細菌による典型的な肺炎と，それとは検査結果や治療薬が異なる肺炎を非定型肺炎として区別することがある.最新の日本呼吸器学会の「成人肺炎診療ガイドライン2017」では,この非定型肺炎の原因微生物として,肺炎マイコプラズマ，クラミジア属,Legionella pneumophila,コクシェラ属を記載している.また,betaラクタム系薬が無効な病原微生物による肺炎を非定型肺炎と考える. 日本呼吸器学会では,これらの非定型肺炎の軽症患者に対する治療薬を細菌性肺炎と区別する基準を表1に示している.また,臨床的に抗菌治療を開始する必要があるため,非感染性の肺炎である心不全,薬剤性肺炎,器質化肺炎,好酸球性肺炎なども感染性の肺炎として治療が開始されやすい.そのため,臨床的な改善がない場合には非感染性の肺炎像を呈する疾患を考慮する.

肺炎

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