複雑現象統一的解法フレームワークCUBEによる自動車エンジンシミュレーション

坪倉誠; ラフールバル; 李崇綱

摘要

燃焼流動をシミュレーションで予測する技術の進歩は目覚ましく，最近では燃焼や噴霧モデルの市販ソフトへの実装，さらには燃焼流動に特化したソフトウェアの開発も進んでいる．この結果，燃焼器等の設計開発現場へのシミュレーションの導入も進みつつある．一方，この現象の難しさは，液相の分裂や相変化に加えて，ミクロスケールの化学変化とマクロスケールの流動という時空間スケールの大きく異なる現象を扱う点にあり，マクロスケールの熱流動の予測に対しては様々な仮定に基づくモデリングを導入せざるを得ないのが実情である．シミュレーションの時空間解像度を高めることは，離散誤差を少なくすると共に，より仮定の少ない信頼性の高いモデルの導入を可能とし，より精度の高い予測が可能なることは間違いない．さらに計算機性能が向上すれば，いずれは化学素反応を考慮した工学的燃焼シミュレーションの実現も可能になると期待されることから，大規模シミュレーションへの期待は大きい.．しかしながら自動車内燃エンジンのようなピストンやバルブの運動が伴うような燃焼場に対しては，燃焼現象やそれに付随するモデル化に加えて，複雑な移動境界問題を扱う必要があり，並列計算機の性能を十分活かした超並列計算の大きな妨げとなっている．我々のグループでは2012年より，燃焼現象に代表される複雑熱流体構造連成現象を対象として，基礎方程式からその離散化，アルゴリズムやデータ構造までを抜本的に見直し，ハイエンドスパコンの性能を十分引き出せる複雑現象統一的解法フレームワークCUBEの開発を進めている．本報ではその中の，自動車エンジン燃焼シミュレーションの機能について解説する．

複雑現象統一的解法フレームワークCUBEによる自動車エンジンシミュレーション

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