2018年10月に発表された気候変動に関する政府間パネル（IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change）の1.5℃特別報告書において，産業革命以前の世界の平均気温（1850年～1900年基準）から気温が1.5℃および2.0℃上昇した場合の比較が行われ，気温上昇を1.5℃に抑制した場合，極端に高い気温や強い降水といった不環境リスクが明確に低下することが報告された．この結果を受けて，2021年10月から11月にかけて開かれた国連気候変動枠組条約第26回締約国会議（COP26: The 26th United Nations Climate Change Conference of the Parties）では，産業革命以前の世界の平均気温と比べて気温上昇を1.5℃以下に抑制することを目標とし，21世紀半ばのカーボンニュートラル（温室効果ガスの排出量から森林等による吸収量を差し引いて，社会全体で排出量ゼロとする状態）の達成，およびその通過点である2030年に向けた野心的な気候変動対策の実施について合意がなされた．このように世界的に温室効果ガス排出量削減が求められる中，日本では，2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において，発電分野からの温室効果ガスである二酸化炭素（CO_2）の排出量削減に向けた再生可能エネルギーの主力電源化および火力発電おける水素（H_2）の利用やCO_2回収·有効利用·貯留（CCUS: CO_2 Capture, Utilization and Storage）技術の適用が目標として示されている．
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