職人の頭の中の工程設計

岩水建二

摘要

加工プロセスの自動設計に向けてという特集に対して，逆に職人はどのような考えをもってものづくりをしているか紹介してほしいとの依頼を受けた．㈱豊里金属工業は1966年に複写機·エアコンなどの部品量産会社としてスタートし，その後．創業時より試作を行ってきた技術を活かし，1980年に試作板金の専門会社となった．板金の中でも特に絞り加工を得意とし，家電製品，自動車部品，建築材料をはじめ，多様な製品に使われる部品の試作を行っている（図1）．弊社にいただく依頼は，他の試作会社で加工できないと断られた部品や，とにかく特急で作ってほしい部品など，困りごとを抱えているお客様からの要望が多く，簡単な仕事はほとんどない．しかし，われわれが作れないといえば，お客様の仕事はそこで止まってしまう．どうにかしてお客様の求めるものを作るため，「金属製品の試作はどのようなものでも創る」という信念のもと，職人の技術と最新の工作機械を組み合わせた仕事を行っている．その結果，企業としては，大阪ものづくり優良企業賞，個人としては，なにわの名工，大阪テクノマスター，ものづくりマイスターなどの栄誉をいただくことができた．本稿では，加工プロセスの自動設計とは異なるが，筆者の目線のものづくりを解説したい．

職人の頭の中の工程設計

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