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本書の著者である建築家·吉阪隆正はル·コルピュジエの弟子の一人として，日本に近代建築の思想を普及させた功績で知られている。また，建築だけでなく，教育者·登山家·文明批評家としても，多くの人たちに影響を与えてきた。本書は「吉阪隆正集」勁草書房を底本として，珠玉の小作品17編で編慕している。年代も1959年41歳から1980年63歳と幅が広く，吉阪が提唱した住むに必要な道具は何か，どんな形にすればよいか，どのようにして配給すればよいかを考え，これを作り配る不連続統一体や，人工的な環境がかなり広まりその中での生態を研究する有形学が収録され，三つの建築家像，木造住宅の現代性，環境工学とは何かなど現代に通底するものも取り上げている。本書はゆるやかに構成され，読み進めていうちに不連続に一体化していく絶妙な仕立てになっている。半世紀前に着想したとは思えない斬新さに満ちた思想に出合い，新たな着想を築くための最良の書。

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