慢性頭痛-片頭痛を緊張型頭痛と誤診しない

清水利彦

摘要

頭痛の分類と診断は『国際頭痛分類第3版(ICHD-3)』に基づいて行われる. 体動より頭痛が増悪するのは片頭痛の特徴的な症状である.両側性および非拍動性など緊張型頭痛を疑う所見があっても，中等度以上の頭痛で，体動で増悪する場合は片頭痛の可能性がある.頭痛は，日常臨床において遭遇する機会の非常に多い症状の一つである.頭痛の分類と診断は国際頭痛学会より出版されている『国際頭痛分類(The International Classification of Headache Disorders: ICHD)』に基づいて行われ，現在は2018年に出版された『面際頭痛分類第3版(ICHD-3)』が用いられている.ICHD-3では頭痛は第1部「一次性頭痛」,第2部「二次性頭痛」および第3部「有痛性脳神経ニューロパチー.他の顔面痛およびその他の頭痛」に分類されている.一次性頭痛は慢性頭痛ともよばれ，片頭痛，緊張型頭痛，群発頭痛などを含んでいる.二次性頭痛は器質的疾患に起因する頭痛で，くも瘼下出血や脳腫瘍など慢性頭痛と異なり生命に危険を及ぼす可能性のある病気が潜んでいることがある.このため一次性頭痛の診断基準には二次性頭痛の可能性を除外することが診断基準に記載されている.また一次性頭痛のなかで片頭痛および緊張型頭痛を合併している症例も多ぐさらに片頭痛のなかには典型的な症状を認めない症例もある. 本稿では，このような症例を提示するとともに，一次性頭痛について診断および治療についても解説する.

慢性頭痛-片頭痛を緊張型頭痛と誤診しない

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