麦門冬湯

境修平

摘要

処方プラクティス-レア症例から使い方を学ぶ麦門冬湯の適応となる病名は気管支炎,咳，気管支喘息だが,実臨床では保険適応外ではあるものの,乾燥を防ぐという目的で使われることが多い薬剤である.実際の症例を提示し解説する.高齢者の長期にわたる喉の乾燥80代男性主訴:咽頭違和感数年来の咽頭違和感にて近医内科受診.「年のせいで喉が乾燥している」との訴えから人工唾液（サリベート?）を処方されたが，使用感が悪く逆に症状が悪化するため自己中断. 夜中に喉が渇いてつらいので水分を摂るようにはしているが,トイレが近くなるため不眠も強くなり困っている，何か治療法はないか?という相談を目的に当院初診となった.初診時に,咽頭,喉頭粘膜の乾燥を認めたが,特に腫瘍性病変などはなく,血液検査でも抗SS-A抗体,抗SS-B抗体は陰性であり，シェーグレン症候群は否定的であった.高血圧の既往はあるがアンジオテンシン変換酵素阻害薬の服用はなく薬剤性による乾燥も否定的であった.

麦門冬湯

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