自動車から排出される粒子状物質には、エンジンにおける燃焼により生成し排気管から放出される排気粒子の他に、ブレーキやタイヤの摩耗によって発生する非排気粒子がある。近年のエンジンの燃焼改善や排出ガス後処理技術の向上などにより、排気管からの排気粒子が低減されたことで、非排気粒子の排出割合が相対的に高まっている。非排気粒子のうちブレーキ摩耗由来の粉じん(以下、ブレーキ粉じん)は、自動車から排出されるすべての粒子状物質の約21%を占めることが、さまざまな文献に基づいてまとめられている(Grigoratos and Martini, 2015)。このような状況を踏まえ、国連欧州経済委員会(UN/ECE; United Nations Economic Commission for Europe)の活動において、乗用車用ブレーキ粉じん計測法の国際統一化へ向けた取り組みが進められている。日本の環境行政活動においても、国際基準の策定や見直しに積極的に参画?貢献している(笠井,2017)。
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