著者は建設業の立場より脱炭素化に関する技術開発並びに事業化を進めてきた．今回の特集企画「省エネルギー社会の実現に向けた産業界の提案」に対し，建設部門からの取組み事例を紹介する．建築物の供用中に発生する業務由来の温室効果ガスを抑制することは産業部門の取組みと同様に喫緊の課題となっている．環境負荷増大速度を地球の環境自浄能力（速度）以下に抑えるために再生可能エネルギーの有効活用が求められている．業務分野で活用できる再生可能エネルギーには，熱エネルギー技術の利用を中心とした省エネルギー技術と，電力供給を媒体とした創エネルギー技術がある．この省エネルギー技術と創エネルギー技術のベストミックスで達成するものがネット·ゼロ·エネルギー·ビル（ZEB, Net Zero Energy Building）である．そこで建築物のゼロ·エネルギー化で要となるものが，冷暖房設備の省エネルギー技術で，太陽熱，地中熱，河川水熱等の再生可能熱エネルギーや下水道熱や工場排熱といった未利用熱である．
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