高圧水素圧縮機を支えるトライボロジー技術の動向と課題

三浦真一; 兼井直史; 伊藤弘高福田貴之

摘要

日本政府が主導して2018年から開催されるようになった水素閣僚会議も2021年で第四回を迎え昨年10月4日に開催された．昨年の会議はコロナ禍のためオンラインでの開催となったが，29の国·地域·国際機関等の代表者などが参加し，世界での水素利活用を一層推進するための課題や政策の方向性が共有された．昨年の水素閣僚会議の段階で水素戦略を策定した国は17カ国に広がり，少なくとも20カ国がさらに策定に向けた取組みを行っている．各国の水素戦略．政策に大きな予算措置が伴うこととなり「エネルギー媒体としての水素」が実装段階へ移行し，大きな流れとなることが期待される．IEAによるGlobal Hydrogen Review 2021のプレスリリースでは，「水素戦略を持っ国々は．水素技術の開発と展開に少なくとも370億米ドルを約束しており，民間部門は3000億米ドルの追加投資を発表した．しかし，2050年までに水素セクターを世界のネットゼロ排出量と一致させるには，現在から2030年の間に1兆2000億米ドルの投資が必要である」としている．水素閣僚会議（図1）の各国ステートメントを読むと，多くの国で水素を資源として輸出することで，カーボンニュートラルという地球次元の課題へ対応すると同時に水素という新しい市場が創出され国の発展の契機となることを期待していることがわかる．日本でも第六次エネルギー基本計画が公開されたが，2030年に向けた政策対応のポイントとして「カーボンニュートラルを見据え，水素を新たな資源とし社会実装を加速する」と明記され「長期的に安価な水素を安定的かつ大量に供給するため海外からの水素の活用·国際水素サプライチェーンの構築に取り組むことが重要」とされている．

高圧水素圧縮機を支えるトライボロジー技術の動向と課題

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