PART 2 EBNについて：EBNとEBNの手順について

摘要

EBNとは：従来の医療は経験則に頼っており、治療効果が不確実だったり、過剰な治療や不必要な治療の可能性があった。そこで、最新の科学的証拠に基づいた治療法を提供することで、患者の安全性や治療効果の向上を目指す考え方が生まれ、1990年代にカナダのマクマスター大学のGuyattら（1992）が、医学生にEBMの考え方を取り入れた教育プログラムを提供した際に初めてEvidence-based Medicineという用語が使われたとされている。それがEBM（Evidence-based Medicine :エビデンスに基づく医療）である.EBN （Evidence-Based Nursing :エビデンスに基づく看護）は、看護の分野においてEBMを応用し、最新の科学的証拠に基づいた看護実践を行う手法である。1990年代後半に同じくマクマスター大学のDiCensoらによって提唱され（たとえば、DiCenso et al., 1998）世界中に広まった概念である。ただ、エビデンスに基づく看護とは言っても、対象者の個別性に基づいて最良のケアを提供するという大目的を果たすために、必ずしもエビデンスのみに頼って画一的な看護を提供することを意味しない。DiCensoら（1998）によれば、EBNを支える要素として、エビデンスに加えて、看護師の経験則を含む専門知識や、患者の嗜好、利用可能な資源をあげている。どんなに効果があると実証されたエビデンスのあるケアであっても、患者が望まなければ最良のケアにはなり得ない。したがって、EBNはエビデンスをベースにしてはいるものの、エビデンス至上主義ではないということである。そのことも踏まえたうえで、EBNの手順について見ていきたいと思う。

PART 2 EBNについて：EBNとEBNの手順について

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