好酸球増多性肺疾患（急性?慢性好酸球性肺炎）

中村孝人

摘要

好酸球性肺炎は,病理組織学的検査で好酸球が最も顕著な炎症細胞である肺炎である.他の炎症細胞，とくにリンパ球および好中球が時に関連するが，好酸球が明らかに優位である.従来から,①単純性肺好酸球症，②急性好酸球性肺炎(acute eosinophilic pneumonia : AEP), ③慢性好酸球性肺炎(chronic eosinophilic pneumonia : CEP),④アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis.： ABPA),⑤全身性疾患に伴う肺好酸球症,に分類されている.AEPは1989年にAllenらによって報告された.咳嗽,呼吸困難，発熱,および胸痛などで急性発症する.発症時の平均年齢は30歳で,それまで健康であった若年男性が多く，ほとんどは喘息の既往歴がない.近年報告のある患者の多くは,発症前の数日以内にたばこの煙に曝露されている.急性発症であり急性感染性肺炎との鑑別が重要である.CEPは1969年Carringtonらによって報告された.咳嗽，呼吸困難の増強，倦怠感，および体重減少を伴う症状が数週間または数カ月にわたって進行性に発症することを特徴とする. 主に女性に発生し(男女比1 ： 2), 20歳未満ではまれで，40歳代で最も高い.大多数の患者は非喫煙者である.アトピーの既往歴は患者の約半数にみられるほか，アレルギー性鼻炎，薬物アレルギー,蕁麻疹などが時にみられる.重要な点として，上記の診断は表1にあるように，除外診断が必須であり，好酸球増多肺疾患の原因となる他病態を必ず検討する.

好酸球増多性肺疾患（急性?慢性好酸球性肺炎）

摘要

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