構造材料の3次元微細構造評価

摘要

われわれは日本刀の形をした物体を見つければ，まず，その形をみてぎょっとする．次に手に取った重さで，鉄原子でできた本物だ，と認識する．しかし，同じ鉄原子が集まって日本刀の形を造っていたとしても，簡単に折れる鈍らも名刀と呼ばれる業物もあることはよく知られている．これは，個々の原子レベルと目に見えるマクロな形との間のスケールにおいて鉄原子の集合の仕方に違いがあり，それが刃物の性質を決めていることを示している．このようなスケール，すなわちアトミックスケールからミクロスケールにわたるサイズの微細な構造を観察することは簡単ではないため，古来，刀鍛冶はプロセスと性質の相関関係を経験から導き出し，名刀と呼ばれるにふさわしい優れた特性を引き出してきた．このような相関関係に基づく帰納的なアプローチは，微細構造の情報を分析し特性の根源的な起源を解明しその知見をもとに材料設計を行う演繹的なアプローチと並んで，現在でも最新の情報科学を活かしたマテリアルズインフォマティクスとなって引き継がれている．このマテリアルズインフォマティクスでも，従来用いられてきたプロセスと最終的な特性の関係性に加えて，最先端の計測法が明らかとする微細構造の情報との相関関係を取り込むことで大きな成果が挙がりつつある．このように，アプローチによらず現在の材料科学発展の鍵は微細構造の情報にあると言ってよい．

構造材料の3次元微細構造評価

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