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黒毛和種子牛の下顎骨骨折に対してピン揷入による固定術を用いた1症例

机译:黒毛和種子牛の下顎骨骨折に対してピン揷入による固定術を用いた1症例

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摘要

牛における下顎骨骨折に対する治療には,ワイヤー固定,ラグスクリュー固定,創外固定 およびプレート固定が選択されることが多い.一方で,プレート固定などの手法が確立されてきた背景 もあり,ピン挿入による固定術の報告は少なく,治癒率も高くない.著者らは黒毛和種子牛の下顎骨骨 折に対し,創外固定用のピン挿入による内固定を行った.症例は酪農場のパドックにて3頭飼いされて いた4力月齢,雄の黒毛和種子牛で,発咳を主訴に往診した.初診時,体温39.81,食欲不振,肺胞音 粗励に加え,左下顎側面の腫脹が認められた.第10病日まで抗菌薬による治療を行い,呼吸器症状は 改善した.しかし,左下顎の腫脹は改善せず,口腔内の観察とX線検査を実施した.その結果,左下 顎第2前臼歯から吻側へ約2 cmの歯肉部にて下顎骨の骨折片の一部が視認および触知された.また,X線画像にて左下顎骨の骨折および短縮性軸転位が認められた.口腔内観察とX線画像診断の結果か ら,左下顎骨の開放骨折と診断した.その後,第17病日に手術を実施した.症例牛を右側横臥位保定し, キシラジン,グアイフヱネシン_ブトルファノール混合液の点滴投与による鎮痛不動化処置下で手術を 行った.左第2切歯基部の歯肉部を切開し,ドリルにて孔を形成後,創外固定用の皮質骨用ピン1本を 吻側の骨折遠位部に挿入した.腹側に転位した骨折遠位部を持ち上げながら,骨断端同士が接着するよ うにピンの先端を尾側の下顎体に挿入し固定した.第50病日には骨断端同士の癒合が認められ,ピン を抜去した.第73病日には骨折線の不明瞭化と骨増生が認められた.整復術直後より,採食,飲水お よび反芻などの機能に異常は認められず,症例牛は順調に発育し,子牛市場へ出荷された.以上の結果 より,子牛の下顎骨骨折治療において創外固定用のピン揷入による固定術が適応可能であることが示唆 された.今後は適応となる症例について検討するために,症例数を重ねていく必要があると考えられた.

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