釘を使った製本と「装釘」

大貫 伸樹

摘要

最近よく「ソウテイ」という文字の表記についで書かれた文章を見かけるようになった。装丁，装幀，装釘，装訂などの文字を当てる場合が多く，同様の意味の言葉として装本，図書設計，ブックデザイン，書装などが使われることもある。私は，「装丁工洹弗芝氓钎顶ぅ蟆工蚴工盲皮い毪鞯匦⑺睦伞罕兢蚊佬g』（誠文堂新光社，昭和27年）に「装本といふ言はまだ餘り一般的に通用してゐない。普通には装幀といはれてゐる。所でこの幀は経師屋のやるやうな種類のものだといふので，学者風の人は釘の字を用いる。これは森鴎外氏やその他装幀学者といはれるやうな人達が使っている。釘はクギである。そこでも一つやかましくいへば，釘とぢだけにしか通用しないわけだ。学がある人は，釘にはとぢる意味ありとしてはゐるが，どうせ言葉などは不完全なものが多いのだ，いっそ簡単に本を装ふのだから装本といったらよかろうといふわけで，この字なのである。 #12539;#12539;#12539;表紙を含めての上被類一切と見返し，扉，そして更に完全を求むれば，内部の体裁までわたって配慮されたものを考えるのである。」とあるのを読んでから，組版まで手がけた場合は「装本」を使っている。

釘を使った製本と「装釘」

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