パワーエレクトロニクスシステムのモデリングおよびシミュレーション法

加藤利次; 井上馨

摘要

電力変換器の駆動によりモータをはじめ様々な負荷を制御するパワーエレクトロニクスシステム（以下PEシステム）は，現在では広範かつ多様な分野に適用されている．そのためそれらの設計解析には，個々の電源機器や制御回路，さらには周辺の機器や負荷を含んだいわばPEシステムを一体としてとらえて，それらの相互の影響を解析する必要が生じてきている．従ってその設計·解析には数値的な処理によらざるを得ない場合が多く，様々な汎用的なシミュレータがよく用いられている．このような設計·解析には，従来においてもシミュレータが活用されていたが，それは最終的な実験的検証を行う前段階での解析で主に使用されていた．その後次第に，シミュレータ自身も定式化や積分等の数値処理の原理やモデリング言語，さらには周辺のIT技術の進歩に伴って，より汎用的に，より使いやすく，より高速な処理が可能なものへと進化してきた．そのため現在では，設計における各段階でシミュレータが積極的に活用され，必要不可欠なツールとなってきている．またこれらシミュレータは回路の動作解析のみならず仮想的実験やディジタル回路の合成などの設計開発過程においても活用されてきている．その結果，シミュレータは設計期間の短縮のためにツールとしても活用され，対象システムを分割して各部分を独立·並行した開発を可能としている．従って，PEシステムの設計·解析過程を円滑に進めていくためには，対象システムをいかに体系的にモデリングし，それを効率よくシミュレーションしていくかが課題となる．そのためには多様な応用範囲でのモデリング手法の理論的·系統的な検討や，シミュレーションの高精度·高速化手法の研究が必要である．本稿は，このような研究成果に基づいて，PEシステムの設計·開発におけるシミュレータの活用のためのモデリング法を中心とした対処法について述べる．

パワーエレクトロニクスシステムのモデリングおよびシミュレーション法

摘要

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