2009年11月にまとめられた経済産業省の「ZEBの実現と展開に関する研究会」の報告書では、ZEBを「年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ又は概ねゼロとなる建築物」と定義し,「ネット·ゼロ·エネルギー·ビル」としている.世界的には「Zero Energy (Emission) Building」との表記が広く用いられているが,この表記に少々の違和感があるためか,Netを付加する場合がある.本稿では,EをEmissionすなわち温暖化ガス排出量であると考えたほうが適当でないかとの考えから,ZEBをゼロエミッションビルと表記する.表記はともかく,建築物のエネルギー効率を上昇させることは,環境に優しい社会の構築に不可欠であるとの意味である.ZEBの議論では,エネルギーを賄うところ(例えば太陽光発電)に議論が集中しがちであるが,最も大切な議論は,エネルギーの消費抑制すなわち高効率化であろう.本稿では,ビル電気設備に的を絞り,かつ,まだ実用化には至っていないが,高効率化に大きな貢献をすると思われる,直流配電設備について解説し,これを支えるシミュレーション技術について述べる.
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