身の回りのあらゆるものがインターネットにつながるIOT(Internet of Things)は,さまざまな分野で活用されるようになってきている.特に,自動車分野,交通機関分野,医療分野での発展は,身近に感じるところである.これにより,自動運転技術が促進されたり,自分の乗車したい交通機関の運行状況がリアルタイムで把握できたり,健康状態の記録·管理,医師との共有なども容易になってきている.この流れは,“ものづくり”現場にも及び,その大変革を起こすべく,産業分野を対象としたIOT,つまりIIOT(Industrial Internet of Things)が世界レベルで推進されている.特にドイツでは,これを中核としてものづくりの大変革を目指す,インダストリ4.0(第4次産業革命)という国家レベルでのプロジェクトが進められている.しかしながら,その現状は,“もの”と“もの”をつなぐためのネットワークの標準化やセキュリティ,信頼性の高い通信インフラなどに偏る傾向があり,“つながるもの”や生産システムそのものの在り方についての取り組みが不十分な状況となっているように感じる.そこで,本稿では,IIOT,特にインダストリ4.0の本来の趣旨などを整理し,どのような課題があり,それらの解決のために精密工学がどのような貢献を果たすべきかについて考えてみたい.
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