再生不良性貧血の病態生理

小澤敬也

摘要

再生不良性貧血は，骨髄低形成を伴った汎血球減少を示す疾患で，一般的には「造血幹細胞の疾患」（stem cell disorder）として位置づけられている．個々の症例をみると，ゆっくりと慢性的に進行するケースから急激に重症の再生不良性貧血を発症するケースまでさまざまであり，きわめて幅の広い症候群である．したがって，単一の考え方で全体像を捉えることは不可能であり，症例ごとにその背景は異なっていると考えるべきである．病態の面からみると，造血幹細胞自体の異常に基づくもの，造血微小環境の異常に基づくもの（造血支持能の低下），造血の免疫学的抑制によるものに概念的に大きく分けることができる．ただし，造血幹細胞の異常と免疫学的機序の両者が関与した病態もある．また，Fanconi貧血に代表される遺伝性のものと，より一般的な後天性のものという分け方もある．発症原因という観点からは，原因を特定できない特発性のものと，薬剤やウイルスなどによる二次性のものに大きく分けられる．

再生不良性貧血の病態生理

摘要

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