高エネルギー蛍光X線分析

寺田靖子; 中井 泉

摘要

蛍光X線分析は，物質を構成する元素の同定や定量，さらには2次元分布といった情報を得るのに有力な手法である。同様な情報の抽出に電子線をプローブとして用いるEPMAが地球科学試料では広く用いられているが，この場合には真空中に試料を導入するため揮発性元素を含む試料の分析では注意を払わなければならない。さらに，研磨処理や電子線による損傷なと破壊的な要素も含まれる。これに対し，X線をプローブとする分析は，前述した電子線による弱点を全て補うことができ，大気中で試料そのものを，非破壊で2次元的に広範囲にわたって分析可能であり，地球科学試料に最適な分析手段となる。この方法は近屯第3世代放射光施設であるSRring-8の利用により，1μmに迫る空間分解能（Hayakawa et al, 2001）や絶対量としてな領域の分析（Sakurai et al, 2001）が実現されるようになった。加えてSPring-8により初めて可能になった新しい蛍光X線分析法として，100keV以上の単色放射光の利用が挙げられる。励起X線として高エネルギーX線を用いることにより，Uまでの全ての重元素のK線の蛍光X線スペクトルを得ることが可能となった。ここでは，重元素の中でも特に地球科学的に重要であると思われる希土類元素の分析を取り上げ，全分析の可能性について検討した例とバルク試料中に含まれる微量重元素の分析結果について述べる。

高エネルギー蛍光X線分析

摘要

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