進化する浴室

北角 俊実; Toshimi Kitakado

摘要

浴室の形態としてのシステムバスは,近年ごく一般的な仕様となり，多くの現場で使用されている．システムバスは，その構成素材·構造によって，在来浴室にはない高い防水性，気密性，保温性などを備えており，これら数々の特徴は浴室として理想的で大きなセールスポイントである．しかしながら．その気密性の高さ，吸水性の低さがあだとなり，在来工法の浴室と比較すると,あたかもどニール袋に入れたぬれ経きんが，いつまでも乾かないのと同じように,浴室内の水滴が乾きにくい傾向にある．特に床材にFRP（ガラス繊維強化プラスチック）を使用したものでは，素材そのものが水を吸わず，水を弾く性質（撥水性）を持っているため，浴室内で使用された湯水が弾かれて凝集し,独立した水滴を形成してしまい,うまく流れずに残留してしまう現象が数多く発生していた．これら残留水滴を削減するには，水を弾かず，水になじみやすい素材を使用すれば良いことが経験上知られている．例えば，木材や石材などのような親水性（濡れ性）の高い素材に水を流した場合，表面に流された水は，ベタッと平たくつぶされ，独立した水滴を形成しない．そして途切れることなく一様に流れていくため，結果として水はけが良く,乾燥が速くなるのである．

進化する浴室

摘要

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