技術標準と市場競争

飯野暢; Nobu IINO

摘要

4月某日の新聞に，「日米欧の電機メーカーで組織するDVD（ディジタル多用途ディスク）の規格団体「DVDフォーラム」は，記憶容量を4倍強に増やした新型DVD規格を年内に公開する…．」ことが報道された．情報量が多く記録できるように波長の短い青色レーザーを用い，かつ二層の記録層を使うことにより現行DVDの4倍以上の情報量が記録できる技術標準に関する記事である．ここでいう技術標準とは，ISO（国際標準化機構），JIS （日本工業規格）などのように公的に策定されたものでなく，業界における市場の優位性を確保するなどの目的で作られる，いわゆる業界標準のことである．標準の策定は，製品の市場における普及を促進し，技術の社会貢献に役立つことが多い．しかし，その運用いかんによっては，競合する優秀な技術を抑え込むような効果もあわせ持つ．ここでは，特許技術などを含む技術標準が製品の普及，市場競争にどうかかわるか，また技術標準が運用の仕方いかんによって生じる功罪について述べてみたい．

技術標準と市場競争

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