再使用ロケットの研究開発

稲谷芳文; Yoshifumi INATANI

摘要

普通，飛行機は「一回飛んだら使い捨て」ということはあり得ないので，「再使用飛行機」とはいわない．車や船も含めて普通の乗り物はすべてこれが当たり前である．今のロケットは宇宙へ行くのに一回使うだけで捨てているので，捨てないロケットのことをわざわざ「再使用ロケット」という．宇宙へ行くための乗り物をもっと身近なものにするには，ロケットも飛行機のように簡単にしかも安く利用できるようにならなければいけないが，「ロケットを簡単に繰返し飛ばせるようにしよう」というのが次の目標である．これができると一般の人を乗せて宇宙を往復する宇宙旅行も夢ではなくなる．このためには打ち上げたロケットが単に帰ってくるというだけでは駄目で，どこも捨てないで何回でも使えること，好きなときに飛べること，帰ってきたらすぐに次の飛行，故障しても安全に降りられる，などという機能を持った機体を作ることが必要である．今のロケットは，何年も前からこの日にこの衛星を打つぞと決めて，何百人もの人が発射場で準備作業をして，成功したらばんざいをして，失敗したら爆破して…ということで，ロケットの打上げとは大げさなことの代名詞のようにもいわれるのだが，こんな調子ではとても飛行機のようになれないから，このことを「打上げの文化を変える」という人もいる（図1）．

再使用ロケットの研究開発

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