ベッセルビームを用いたレーザーマイクロ加工

河野正道; 松岡芳彦

摘要

工具と加工対象の接触による従来の機械加工において，より微細な寸法の精度を要求されると，工具と加工対象の接触による変形などが問題となる．加えて工具自身もより微細になるために磨耗しやすくなり，磨耗による寸法の変動や工具と加工対象が異なる素材であれば磨耗粉が汚染物質となる場合もある．これに対して，レーザー加工は非接触加工であるために，上記の問題を避けることができる．また，イオンビームや電子ビームを利用した他のビーム加工と比較した場合，レーザー加工は大気中での加工が可能なため，高価な高真空装置などが不要である利点を有している．しかしながら一方で，熱の発生を伴う従来のレーザー加工では，熱影響による加工精度の低下や溶融物が発生することによる変形が問題となる．また光を波長程度の小さなスポット径まで集光すると焦点深度も波長程度と極端に浅くなることから焦点距離（ワークディスタンス，W.D.）の厳密な制御が必要になり，さらに正確な光学系のアライメントも必要になることが，実際の生産現場へ適用する際に障害となる．熱影響の問題に対しては熱の発生を大幅に抑えられるフェムト秒レーザーなどを適用することによる解決が図られているが，依然として他の問題は残っている．筆者らはレーザー微細加工にベッセルビームと呼ばれるビームを用いることによって，これらの問題の解決を検討している．

ベッセルビームを用いたレーザーマイクロ加工

摘要

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