本稿は、OECDが提唱する「建築ストックのサステナブルな使用(Sustainable Use of Building Stock)」の概念が確立されるにあたって基礎となった建築物の寿命に関する理論的な分析を概説するとともに、同概念の推進がもたらす環境面での効能及び同概念を実現するために必要な要素について分析を行った。 前章までに論じたとおり、寿命に係る様々な概念のうち、建築空間に対する需要を満たしつづける期間を示す実質的寿命の概念が建築物及び建築関連活動が環境に与える負荷に最も関連性が深く、OECDにおける建築ストックのサステナブルな使用の概念も実質的寿命に焦点をあてたものとなっている。
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