濾胞性リンパ腫は日本人ではまれとされてきたが,近年明らかな増加傾向を認める.大半を占める進行期症例の標準治療は確立されておらず,無治療経過観察(watch and wait)という選択肢が存在する.watch and waitの妥当性評価の臨床試験はきわめて長期間のfollow-upを要し,follow-up期間中に治療手段が進歩してしまうため,回答を得ることが困難な臨床腫瘍学上の検討課題である.watch and waitが提案された1980年代以降に,プリン誘導体,造血幹細胞移植,抗体医薬などの有力な治療手段が登場してきた.濾胞性リンパ腫は大半の患者が最終的には死の転帰を取ってきた難治性疾患であり,今こそ積極的な治療研究を展開して予後の改善を図るべきである.
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