物質材料研究は日本が得意とする分野であると言われている。確かに,チタン酸バリウムに代表される酸化物電子デバイス,環境材料で重要なリチウム電池材料,パワーデバイスとしてのダイヤモンド,SiC等,その他多数存在する。筆者は酸化物中のカチオン,アニオン欠陥に関する研究を拡散現象を通して研究してきた。この間,研究対象物質はアルミナ(Sakaguchi etal.,1995),YAG(Sakaguchi et al.,1996)のような絶縁体から酸化亜鉛半導体(Sakagucili et al.,2010b)やベロブスカイト構造を有する酸化物(Sakaguchi et al., 2000,2010b)リチウム電池正極材料(Takada etal.,2008)等を研究してきた。この間,気相合成ダイヤモンド(Sakaguchi etal.,1997;Sakaguchi etal.,1999)の炭素系材料の表面や半導体性に関する研究を行ってきた。特に,気相合成ダイヤモンドの合成時の不純物制御による半導体性向上では,合成装置や表面研究用の装置開発を含め,気相H固相界面(成長界面)での反応に関する多くの知見が得られた。異分野での研究は多いに役立つ経験である。本報では,これまでの研究の中から,イオンビーム技術に関する装置開発やその応用に関する研究を紹介する。
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