バイオ力テコールの酸化反応を活用する白髪用染毛法の研究

松原 孝典; 安永 秀計

摘要

人が美しくあろうとする願望はどの地域でも時代が移っても変わらない。特に、外見上加齢を顕在化させる白髪化は強く意識される。日本において染毛(ヘアカラーリング）をしたことのある女性の比率は81と高く、40代以上の女性ではそのほとんどが白髮を隠すために白髮染め（グレイカラー）を行なっている。今後も世界的に高齢者の人口増加の進行とともに白髮用の染毛製品の需要はさらに高まるものと予想される。現在日本で用いられている染毛法を表1にまとめて示す。染毛には酸化染毛剤?酸性染毛料?塩基性染毛料?脱色剤?顔料などが用いられているが、多く利用されているのは酸化染料を有効成分とする酸化染毛剤である。酸化染毛剤は元の髮色が黒から茶?金?白まで幅広い明度の毛髪を様々な色に染色でき、洗髮に対する染色堅ろう度が高い(変褪色が小さい)。一方、酸化染毛剤による染毛がかぶれ?かゆみなどの接触性皮膚炎や、じんましん?めまいなどを引き起こすことが知られ、皮膚疾患発生の問題がある、消費者庁の消費者安全調査委員会によると、2010?2014年の5年間で皮膚障害の事例が1008件あり、内166件は治療に1か月以上かかっていると報告されている。そして、2015年から厚生労働省が各都道府県や販売業者などに対して染毛による皮膚障害の周知を進めている。表1に記載のように、他の染毛製品として酸性染毛料(へアマニキュア）.塩基性染毛料（カラーシャンプー.トリートメント）なども利用されているが、染色性や洗髮に対する堅ろう度などが酸化染毛剤より劣る。安全性がより高いと一般の消費者に信じられている天然由来のへナを用いる染毛法は、染色性が低く、カラーバリエーシヨンも少ない。このように、酸化染毛剤のような染色性?堅ろう性?染色時間と同等の特性を有する代替染毛製品は今のところない。

バイオ力テコールの酸化反応を活用する白髪用染毛法の研究

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