2004年ノーベル化学賞は"The discovery of ubi－quitin－mediated protein degradation"の業績で，テクニオンーイスラエル工科大学のアーロン·チカノバー（Aaron Ciechanover）博士，アブラム·ハーシュコ（Avram Hershko）博士とカリフォルニア大学アーバイン校のアーウイン·ローズ（Irwin Rose）博士の3人に授与された（イスラエルの2名は，ニックネームで呼び合うような個人的に親しい間柄であるので，以下Aaron，Avramと記させて戴く）．2004年5月，Aaronらがエルサレムで主催したユビキチンの国際会議：Workshop on"Ubiquitin in Cancer andin Chronic Diseases"に招かれて両氏と親交を深めてきたばかりであったので，受賞祝いのメール送信にも熱いものを感じた．エビキチン依存性のタンパク質分解の研究にノーベル賞が与えられるかも知れないという機運は，2000年にLasker寒がAaron，AvramとAlexander Varshavsky博士の3名に与えられ，翌2001年にカロリンスカ研究所主催の第34回ノーベル会議が"Regulation of cellular functions by the ubiquitin－Protea some system"のテーマで開催（図1）されて以来，年毎に高まっていた．従って「来るべき時が，本当にやって来た」というのが，筆者の偽らざる心境である．ユビキチンは郵便番号のようにタンパク質を分解に導く日印として作用し，ユビキチンで修飾されたタンパク質は細胞内のタンパク質分解装置であるプロテアソームによって破壊される．今回のノーベル賞に関わる学術的なことがらについては，2004年に筆者が編集した2冊の雑誌（1）をご覧頂き，ここでは人物像を素描してノーベル賞学者の印象を伝えたい.
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