古くから,頭蓋内疾患(とくにくも膜下出血)に伴って低Na血症がみられることはよく知られており,1950年にPetersが,Cerebral salt wasting syndrome(CSWS)として報告した.血漿Naは125mEq/l以下を示し,尿中Naの排泄は持続し,Naの補充で症状は改善した.頭蓋内疾患によって下垂体副腎系に異常が生じてミネラルコルチコイドの欠乏が生じたため,あるいは,中枢から神経支配の変化を介して尿中Na排泄が増加したため,などと考えられCSWSという概念が提唱されたぃ その後,同様な症例が報告されたが,1957年Schwartzらによって,SIADH(syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone)という病態概念が提唱され,以後,CSWSという概念はSIADHの一形態,あるいはSIADHを間違って診断したものと受け取られるようになり,次第に忘れられていった.
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