大学教育を通して、学生は期待される学修成果を実際に身に付けているのか。この学修成果の達成度評価の課題に、国研テスト問題バンクでは2014年より機械工学分野で取り組んできたが、米国や欧州でも、「学問分野別」学修成果アセスメントの開発が目下、手がけられている。すなわち米国では、社会科学研究所(Social Science Research Council)によって、6学問分野(歴史学、経済学、社会学、コミュニケーション学、生物学、経営学)でテストを開発するプロジェクト(Measuring College Learning:MCL)が2013年に着手され、各学問分野の参照枠組みが発表された(Arum,R.,Roksa,J.&Cook,A.,2016)。欧州では、5学問分野(土木工学、物理学、歴史学、教育学、看護学)でテストを開発するプロジェクト(Measuring and Comparing Achievements of Learning Outcomes in Higher Education in Europe:CALOHEE)が欧州連合ERASMUS+事業に採択され、2016年5月に第1回会合が開催された。ここでは、学修成果アセスメントの取り組みを牽引してきた米国の経験を辿ることで、なぜ今、「学問分野別」学修成果アセスメントが焦点化されてきているのかを示したい。
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