溶湯直接圧延(Melt Direct Rolling: MDR)は金属の溶湯から熱延板に相当する加工組織を持った薄板を直接製造する方法で、図1(b)のように2本の凝固ロールの間で凝固と同時に大きな圧下率で圧延する方法である。図1(a)の(双ロール薄板連続鋳造(Twin Roll Strip Casting: SC)と類似しているが得られる薄板の組織が大きく異なる。その結果、それから得られる焼鈍板または冷延焼鈍板はSCプロセス材に比べて結晶粒が微細でかつ加工に有利な集合組織を持つことが期待できる。MDRでは大きな圧延荷重が生じるため熱間圧延機が必要であるが、従来の量産プロセスに比べて省工程、省スペースであるから、アルミ合金板材を使う工場内で発生するスクラップの安価な再生法として期待できるかもしれない。本報ではそれを目的に開発した板幅160mmのアルミ合金板材を製造できる溶湯直接圧延設備の概要と得られた知見を報告する。
展开▼