膜蛋白質や分泌蛋白質などの新生蛋白質は小胞体(ER)にて折りたたみ(フォールデイング)や糖鎖修飾を受け,高次構造を形成し,蛋白質としての機能を獲得する.蛋白質合成冗進,酸化ストレス,蛋白一次構造の変異などが原因となり,小胞体内に不良蛋白(unfolded protein)が蓄積するとERストレスセンサーが活性化し,不良蛋白蓄積を軽減するためのシグナルが小胞体から発信される.この一連の生体防御反応はERストレス応答またはUPR(unfolded protein response)と呼ばれる.しかしながら,ERストレスが過度な場合や遷延した場合,小胞体よりアポトーシスを誘導するシグナルが発信され,障害細胞が除去される.興味深いことに,このERストレス応答が変性蛋白凝集による神経変性疾患,糖尿病などの多くの疾患の発症や病態に深く関与していることが明らかになりつつある.
展开▼