従来,測定値の信頼性は測定値と真の値との差である誤差により評価されていたが,真の値を正確に知ることができないため,誤差による評価は分野,国により様々な方法で行われていた。 そこで,測定の信頼性を評価する方法を統一するために,1993年にISO (国際標準化機構)等の国際機関7機関の名前で「Guide to the expression of Uncertainty in Measurement;計測における不確かさの表現のガイド」(GUMと略称される)が出され,「不確かさ」という新しい概念を導入した測定値の信頼性の評価方法が示された。従来の「誤差」は,測定値と真の値との差であり,真の値を正確に知ることは不可能であるため,誤差を正確に知ることはできず,概念的なものであるのに対し,「測定の不確かさ」は真の値ではなく最良推定値の信頼の程度として定量化できるものとなった。 現在,ISO/IEC17025「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」において測定の不確かさを評価することが求められていることもあり,電気や質量等の様々な計測の分野でこの不確かさの評価が行われており,標準ガス,標準液等の標準物質においても濃度値の不確かさの評価がなされている。環境分ならなくなってきており,特にダイオキシン類の分析に析の分野においても,測定の不確かさを評価しなければおいては,特定計量証明事業者認定(MLAP)で,ISO/IEC17025と同様に測定の不確かさの評価が求められている。ここでは,財団法人化学物質評価研究機構が平成13年度に財団法人産業研究所からの委託事業として行った「極微量物質の計測における品質管理システムの確立に関する調査研究」において行ったダイオキシン類の測定における不確かさの評価を基にして,不確かさの評価方法についてその具体的な例を紹介する。
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